― 回想・6か月前のある夜 ―
[勤め先のバーにて、いつものようにカウンターに立っておれば、からりんとドアベルとともに現れたのは久方ぶりに見る顔>>199。]
……いらっしゃいませ。
[表情はにこやかなれど、声を掛けるのが一瞬遅れた辺り、動揺が見て取れたかもしれない。
事件当時とは違う店に勤めている、とは言え警察であれば今の勤務地など簡単に調べられて当然だろう。
オーダーされたものを出す際に、ほかの客には聞こえないように、テノールがそっと囁いた。]
あれから、なにか進展がありました?
[その言葉には裏はない。
なぜなら、当時の刈屋は真相を*忘れていたのだから*]