― 街中・広場 ―
ボクは庭園で仕事をしていることが多いから、
きっと歌声で仕事も捗ることでしょうね。
[ そう相槌を返して――ふと。
口籠るような所作と言葉>>250に、
緩く首を傾げて疑問を示して見せるけれど
苦笑が返ればそれ以上尋ねることはしない。
丁寧な言葉遣いと態度はいわば壁だった。
いつしか出来てしまった深い深い溝を隠すための。
身分を弁えるという理屈はいかにも正しい。
正しいが故に、変えることを求められもしないと
理解している己の狡さは自覚している。 ]
…ボクは讃美歌より詩人の歌で見送られたいですねえ
まあ、先に養父を見送ることになるのでしょうけど。
[ 何を言いかけたのか気にはなっても、
無難な言葉で話を終えるに留めた。
…養父に対して失礼な言が無難かどうかは
見解が分かれるところではあるだろうけれど。 ]