人狼物語−薔薇の下国

13 Chant 〜あなたを失い死を知った〜 SIDE:B


傭兵 クロイツ

―過去―

[傭兵として転戦を重ね、四年近い歳月。
既に、日常的に菓子を口にすることがなくなって久しい。
代わりにポケットに入れた棒砂糖は味気なく、殆ど、体力を補給する為だけに利用されている。

たまに帰る本国で口にする菓子は、懐かしい味である筈なのに、きつい香料の所為か、どこかなじめない気がしてならなかった。
――九年間に味わった幸福が、それほど大きかったのだと――それだけの理由かもしれないが]

(……彼は、どうしているだろうか)

[時折、思い出す。一級下の、魔法のように甘いものを生み出したパティシエ。
 彼の開く料理教室に、味見役として入り浸っていたことは、我ながら図々しいと思いながらも、大切な、暖かい記憶だった]

(274) 2013/06/13(Thu) 09:25:45

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