>>238
…いなければ、だなんて。
[消え入りそうな声に胸が詰まる。自分の言葉は、彼女を否定したのではないか。異端に身を置く彼女にとって、この霧の支配は喜ばしいこと――の、はず。だから、彼女の飲み込んだ思いが、何かなど分からなくて]
ええ、逃げ出せたら…
…貴方の前で、醜い姿を晒さずに、済んだ。
[逃げ出したとしても、彼女の主人の命令は絶対で。自分の死は避けられないのだと]
…でも、今は…
貴方を、目に焼き付けて、死ぬことが出来る。
なんて、喜ばしいことだと――そう思っています。
[残酷な言葉を、幸せを湛えた笑みで]