カナン・リリ様。
先日、貴方の副官であるシメオン様より開国の旨のお話はお伺いしております。
貴方がたからすれば―――…
きっと、理解しがたい慣習に縛られた、古臭い国に見えてしまうかもしれませんね。巫女や結界だなんて、子供騙しのお伽噺を聴いているような気分なのでしょうね。
[カナンの端整な顔立ちを見つめながら、軽く微笑んでに肩を竦めた。
それは先程、>>113 蛮族と蔑んだアレクシスらしからぬ、どこか寂しそうな顔。
彼がその表情の変化に気が付いたならば、きっと直ぐに元の表情に戻った事も悟っただろうか。]
然しこれが、ナミュールという国なのです。
もう何百年と渡って歴史を紡いできて、今がある。
当然、長い歴史のなか、内戦も起こった事もあります。
しかし、それでもこうして悠久の時をナミュール足り得ているのは。
まさに姫王のお力があってこそなのです。
[蛮族には理解しがたい事だろうか。
長い間、ナミュールとして築き上げてきた確かな歴史を、他の者に踏み荒らされる事の、屈辱を。そう、易々と受け入れられるはずがなかった。なにより、彼等は――――]