― 塔の街・宿屋跡 ―
[愛し子の許可>>262を得られたので、いくつかの商店跡を経由しながら、隠れるのに適した家を探してまわった。
二匹の双頭犬が隠れられて、水場が近く、厨房があり、きちんとした寝床があり、過度に汚れておらず、逃げやすい作りのもの、すべてが当てはまる建物は少なくて……
狩りの跡が残る街では「汚れていない」という条件が最大の難関である。
やっとのことで見つけ出した建物は以外にも大通りに面しており、見つかりやすい場所であるからこそ誰も隠れていなかったのだろう、家具や食器が散乱してはいたが、狩りがあったら付くであろう汚れはそれほどついてはいなかった。
中の様子を窺えば、酒場が併設された宿屋のようで、無造作に転がっている家具をよければ双頭犬の二匹や三匹を置いておくことができそうであった。
ひと通り見て回ったならば、問題無いと彼に伝え――…それから]