……ったく。
この不器用はどーしよーもねーなー。
[やや大げさに言い放った後、視線は一度、頭上の空へ。
道別つ以前、仕合の後に見せていた仕種と同じもの]
親父が、騎士修行を止めてすぐに戻れ、って言ってきてな。
……どうにも色々と面倒な気配を感じたから……下手な事、言えんかったんだよ。
どう転ぶにしても、ここで目指してたものは捨てにゃならん……そう思ったら、なんも言えなくなっちまってな。
[普段の態度はともかく、騎士を目指す事に真っ直ぐだった事、それだけは正しく伝わっていただろうから。
周囲の都合でそれが歪められてしまった事を伝えるのに恐れがあって]
さすがに、ここに対して何かやらかすって事はないだろうが、下手に戻ると迷惑かけちまうかも知れん、ってのもあって。
結局、家飛び出してからも寄りつけんまま……気が付いたら、5年もたっちまってたってわけだ。