[それは唯一神教のシンボルを抱く教会の近くにあった。
形こそ巨大な船であるが、人間にそれを飛ばす術はないと思われた。
反撃の象徴であれば真っ先に破壊する所であるが、これを作り出したのは、同じ主を信仰する人の子らである]
……ほう。
[その中に、人の子らを導く立場と見える青年の姿を見付けた。
救世主、と周囲に呼ばれるその青年は、人間の群れの中で異質な存在と天使の目に映る]
人々に救いを示すか。
良い心掛けである。
[天上への呼び掛けと同じ響きで向けられた思念に、果たして反応はあったか。
天使はしばし箱舟上空へ留まった後、何処かへ飛び去った*]