[人狼に襲われたのだと言う。
先ほどまで、酷く動揺した様子だった。
動揺と恐怖のあまり、混乱しているのだろうか。
――… それとも、まさか?
どうして海賊と呼ばれたか?>>232
海賊だから、海賊なのではないのだろうか?
その内心など、何も知る術は無く、
その瞳の奥に潜む狂気めいた何かに、背筋にすっと冷たいものが走る。
やがて、男がきびすを返せば、]
――ッ…!
[あとを追って、駆け出した。
けれど、サロンの出口にいたったときには、その姿はもう消えていて。
どこに行ったか分からずに、こちらかと思う方角に、闇雲に通路を走り出す。]