[そのときふと、胸に下げたヤドリギの枝が微かに光る。
樹精にそっと耳打ちされて、丸い目の笑みになった。]
そうか。あのときのあれを未だ持っていてくれたのか。
[かつて出会った時に渡したヤドリギの実は、持ち主の身から災厄をほんの少し遠ざける程度の力を持っている。
あの時よりも神樹に親しんでいる今なら、もっと力を引き出せるだろう。]
頼むのじゃ。
[同じ木から取った己のヤドリギを両手で包み、そっと祈る。
彼の懐で、赤い石が微かな熱を帯びたことだろう。
身代わりの力を帯びたその石は、いずれ彼の身を守ることがあるかもしれない。
たとえ自分たちと戦う時であっても構わない、と思っていた。*]