― 森 ―
[ゲルトの声は>>258、木々のざわめきに飲み込まれてヨアヒムの耳にまでは届かなかった。
人間の耳の限界を超えた場所でその声は発されたのだろう。]
…っ、はっ…は…っ
[その後も、何度も足を取られながら、それでもとにかく闇雲に先へ進んだ。
そして]
ゲル…ト…?
[重なる幹の間に、金色を見た気がして、立ち止まった。]
……………っ
[それは、確かに探していた彼の姿だった。
ゆっくり近づいて来るその姿に、視界が歪む。
もう少し、と言う距離でゲルトが立ち止まって。どうして、と焦る気持ちで一歩踏み出した。]