[どこかそう離れてもいない距離、声が聞こえた。
修道士、探し人。そんな途切れ途切れの言葉]
(――大通り?)
[あまり人と会いたい訳ではないが、会話からここがどこかの手がかりでも掴めればとそろり近付いてみる。腕には魔物の仔を抱えたまま、人差し指をくちびるに当て、しー、とジェスチャー。勿論意味が分かった筈もない、仔犬はわん!と元気に答える]
ちょ、ダメですって。静かにしないと。
[慌てて抱えなおし、そっと声の方を伺ってみる。気付かれただろうか。気付かれていないようなら、そろりとそちらに向かって足音を忍ばせてみるつもり]