いや…そうだ、あんたお袋に似てるんだ。
[ 普段なら、思っても絶対に言わない事だ。だが、この時だけは、つるりとそれが口に上った ]
......つっても、俺は会った事ないんだけどな、肖像画でしか。
[ 一枚きり残っていたその肖像画も、炎の中に消えた ]
良ければ、少し、俺につきあってくれないか?
[ 勝手に呼び止めて、おかしな話をしてしまったという自覚はあったから、客として彼女にチップでも渡そうと、そう誘った。
そして、その夜は、もう少し深く酔って、さて、もっと別の話もしたかどうか......不覚にも、その辺りは覚えていない。
ただ、悪い気分ではなかったのは確かだった ]