[さて、目当ての遺書は書いてもらえただろうか。
己が持ちだしたのは即効性の毒。
堪忍やで。
ダイイングメッセージなんて書かれたらかなんからなあ。
倒れる相手の呼吸を確認した時。扉が開いた。
「レグザ参謀総長…フェリクス王子の命により、処罰する」
確かにそのように聞こえた気がするが…──]
え?
[バサリと、書類が舞う。
それは己が偽造した、外交長官が他国の密偵とやり取りした、と受け取れる文書の数々。
どんどん身体が重くなって意識がもうろうとする。
いつの間にか倒れていた自身の身体はもう既に流れる血で
真っ赤に染まっていて。
いや、違う。
既にこの身は真っ赤に染まっていたはずだ。他人から流れ出た血で。]