[ツェーザルは大地に転がっていた戦槌の傍まで歩き、しゃがんで、柄を握る。…ぬる。と赤で指が滑った。舌打ちして、懐刀を取り出し、軍服の長い袖を肩の付け根のあたりで切り裂き引き抜く。次に、もう片方の手と口を使って、左手と戦槌の柄を即席の細長い布でぐるぐる巻きにし固定した。土に汚れて血の滲んだ――戦場色に染まった布が、愛用の武器と己の左手を確かに繋ぐ。 これで、戦える。 役に、立てる。試し撃ちにと、一度軽く戦槌を宙で振るった。ぶぉん。と重い風切り音が鳴る。]