[その翠色の髪と、先程の『おじ様』という呼びかけは。…遠いとおい昔にこの歌をねだった、ひとりの少女を連想させた。そういえば、あの子は今頃どうしているのか。名前も、聞かなかった。願わくば、何処かで健やかに暮らしていたらいいのだが。] 戯れも偶には良かろう。 まあ、人に聞かせる出来ではないがな。[帆柱の上の高い位置は一段と風が強く、心地いい。麦穂色の短い髪を潮風に遊ばせながら、ロー・シェンは何かを懐かしむように眼差しを細めた*]