― 半年前:或る日の王城 ―
[取引の”商品”を運んできたであろう、くすんだ金の髪と淀んだ青の瞳を持つ男を見つけ、足を止めた。]
あぁ、元気そうだね。商売繁盛しているようでなにより。
…ええと、シェットなんとか。
この間の品も悪くなかった。ただ女の扱いは気を付けるように部下に言いた方が良いだろう。
生娘のほうが呪術的に価値が出る術式もある。
[取引の時も名前を呼ぶ必要が無かったから、呼び止めて初めて名前を思いだそうとして―――半分だけ思い出した。]
そういえばそのピアス。
魔力を感じるし何時もつけているけれど、何か特別なものなのか?
[特に用事があったわけではなかった。
だから、取引を持ちかけるときなど、何度か目を引いたそれについて尋ねてみたのだった。*]