[窓の向こう、薔薇が赤く染まる。死ぬ間際に見た色>>127を思い出せば、グラスを爪で軽く引っ掻いた。傷跡が残ることもなく、きぃ、と小さな悲鳴に似た音が僅かに響く。] 灯りに誘われるのは、虫と変わりませんね。[視界を奪った赤は、血よりも炎に近いと思った。今日は随分と過去を思い出すものだと苦笑を零して、誰にも届かないような呟きをそっと零す。三人と気配と声を耳にしながらも、視線は静かに、窓際の赤へと向けられていた。]