人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


狩猟師 ギィ


[その眸に宿るものは困惑、か。
舌先が伝う自分の血の味など、何の面白味も感動もないもので]

 ……嫌か?

 だが、一方的に奪う心算も、無い。
 対価は与える。――私の血と、躯だ。

[胸倉を掴まれ、緩く首を傾げてみせる。
掴んだ指先へ、掌へ、首筋へ。唇を這わせてから解放し]

 ……私の傍に、居てくれ。

[命令形ではないその一言を、搾り出す。
"好き"だとか"愛している"だとか、そんな簡単な感情で括れなかった。

彼を失った日からずっと、その姿を追い求め、
再び手にする事だけを欲して生きてきた、その自覚は確かにあった。]

(269) 2013/10/12(Sat) 00:38:00 (presage)

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