[その眸に宿るものは困惑、か。
舌先が伝う自分の血の味など、何の面白味も感動もないもので]
……嫌か?
だが、一方的に奪う心算も、無い。
対価は与える。――私の血と、躯だ。
[胸倉を掴まれ、緩く首を傾げてみせる。
掴んだ指先へ、掌へ、首筋へ。唇を這わせてから解放し]
……私の傍に、居てくれ。
[命令形ではないその一言を、搾り出す。
"好き"だとか"愛している"だとか、そんな簡単な感情で括れなかった。
彼を失った日からずっと、その姿を追い求め、
再び手にする事だけを欲して生きてきた、その自覚は確かにあった。]