[魔が──魔将シメオン=カザエル・ユートエニアムが”死”を迎えた、その直後。その魔力により保たれていたものは破壊の時を迎えた。
即ち、アイリ・ファタリテートの首枷。
そしてロー・シェン・アウルム・ド・レオヴィルの胸の楔。
更には、座した一人の死人形まで。
漆黒の魔石はどちらも一瞬にして熱を帯び、その次の瞬間砕けて散った。それと同時に、彼らを縛る魔力もまた消え失せる。
支配の霧が晴れれば、彼らの精神に残る傷もありはすまい。
ただ。死しても証残すように、彼らの首元と胸元には、それぞれ黒い魔の痕跡が刻まれ*残った*]