ハ...
[ カスパルも無茶な動きばかりを重ねていた。既に息も切れ、組み付いて胸ぐらを掴みはしたものの、そこで動きは止まる ]
...お前を、殴りたいのは、私の方だ...
だが...聖地を守った恩人を、ただ殴るわけにはいかん...
[ カスパルの騎士としての規範の中では、そうなる。だから、「合法的に殴るために」仕合を申し込んだのだ、とは、伝わるだろう ]
イェン......
[ 不景気な面、と言われた顔が、どこか泣き笑いのように歪み、今まで直接には呼ばなかった愛称を音にする ]
なんで、何も言わずに行った?
[ 続けて落とされた声は、妙に静かに闇を揺らす ]