あれは天性のものかも知れんな。[そう評したことがある。ヴィクトリアのことだ。彼女とはあれから幾度か顔を合わせる機会があった。互いにウルケル滞在が多くなればそれの必然的に増える。都度、内心その操船センスには舌を巻いた。彼女の言葉遣いが荒ければ、笑って許した。それで態度が酷いというものでもなかったし、それ以上に評するべきものを彼女はその身に持ち合わせていた。]