― シュビト中央広場 ―
( どこの要人でしょうか。)
[ 広場に集まっている者を一人一人見る事は難しく、意味もなかった。だからただ、目を惹くものを眺めていた。
頭からフードを被り、全身を黒い服で覆った姿>>0:107に視線がそっと向く。
それは異形とばかりに、下手な変装だった。
それを見る事で、すぐさま余所からの視線>>49を感じる。
それを見るものを見張る為の目だろう。
探るようなそんな視線を感じれば何の気なしに視線を外す。気付いた事に気付かれてはいないと思うが、自信などない。
観察を専門にしている者や野生に片脚を突っ込んだままの者など、世の中には様々なな者がいる。
悪目立ちする存在に目を向ける方が自然だとばかりに先ほどの一瞥のみで済ませた。見たのは自分だけでなないだろう、数多くの誰かの一人に過ぎないと願う。
身分の高い者は低い者に対してどのようにも難癖がつけられる。この場で何かあるとは思えないが、厄介は避けておきたい。]