守ってあげないと駄目な弱い薔薇が、ひとりで大丈夫なのか心配だったんだ。
また会えると思っていちど手を離したら、もう、つなげないからもしれないから。
わたしが『王子さま』なら、きっとそう思う。
[指先が彷徨い、コッペリアの眠る鞄のふちをそっとなぞる]
でも、そうだね。心配だけど――薔薇も頑張って待ったかなあ。
わたしも、みんながしあわせなほうがいい。そうでないと、『ぼく』が星を見たときに悲しい。
『ただいま』に『おかえり』を返す、想像すると嬉しくなる。
その星には『ぼく』に描いてもらった羊がいるのかも。賑やかで、楽しい。
[想像すれば、いつもの笑顔を、ちゃんと出来た。
この本を大事にしているという彼にも、その物語に込めた想いがあるのだと思う。
それが優しい記憶であるかは、その口調から、もしかしたら違うのではないかと思うのだけれど――それでも]
逢えたと思えば別れも素敵なものになる、本当にそうだね。
そんな風に考えたことがなかった。その考え方も、素敵だと思うよ。