― 回想/3年前・別れの後 ―
[エリーが走り去った後、地面を眺めたままとぼとぼと師匠の家まで帰った。
師匠やシュテルンには心配されたかもしれないが、エリーの冷たい言葉が胸に突き刺さっていたから、何も説明することが出来なかった]
(エリー……)
[エリーが亡くなったと聞かされた後は、形見だと思って肌身離さず持っていた革のバレッタ。
哀しいけれど勇気をくれるお守りだったそれも、今は見るだけで胸が苦しい]
でも……捨てたりなんか、出来ないよ。
[触れられなかったかつての友の代わりに、少し色褪せ始めたそれを、ぎゅっと胸元で抱き締めた*]