[いない。黒服の男を視た者が、誰ひとりとして。いない] え……宿屋の見回り、確かにしたんだよな。 なら。本当に宿帳にも。 そんな客が泊まるなんて書き込みはないのか? ………………オバケ……? いやまさかそんな。 は、あははははは……。[乾いた笑みを浮かべる首筋に、つぅ、と汗が流れた気がした。オバケ? じゃああの時、瞬きすると目の前から消えたあの男の姿は…>>0:667]