[ 去り行く人を見送った後。
人の気配が無くなった東屋で
宮廷画家は紙袋から茶菓子を一つ取り出して
徐に齧りながら東屋の小棚に手をかけた。 ]
ボクは……
貴方のように人を無条件に信じられない。
…裏切られる前に裏切って生きてきたから。
[ 呟き、取り出すのは
いつか買ってあった小さな小瓶。
誰に使うと決めているわけではない。
只、いつでも使えるように、と
懐奥深くにこっそりと忍ばせ、
茶菓子と画材の補填を終わらせたら
行く宛もなく、東屋を後にしたのだった。* ]