― 一年前・ゲルトが村に戻ってきた日 ―
[「父親」が戻らず、8年前に母と村を出た少女>>145は、
その2年後、15歳で医師に引き取られ、村に戻った。
やせ細り、何かに怯える瞳で、暫くは誰との面会も拒み。
かつてのような天真爛漫さや、泣き虫だった頃の面影はなく。
ただ、ゆっくりゆっくりと流れる、小さな村の変わらぬ時間と
案じた医師が与えた白い犬や、周囲の人達との関わりの中で。
少しずつ、話すようになり、微笑むようになり]
[そうして――…去年。
村人が獣に襲われかけたという噂>>55の後。
ヴァルターがシモンを助けた時>>79のように、
猟銃を持つ者は、被害の調査や自警の為に動きだし。
その一員でもあった、ゲルトの父の医師の遺体が、
村はずれの森に近い道で、雪降る明け方に発見されたと聞く。
死因は心臓麻痺ではないか、とのことで。訃報を受けて
村に戻ったゲルトを待って、葬儀が行われたのだったか]