[絶対に、望んでいいはずのないこと。
赦されないことだと、頭では、そう分かっているのに。
服の上から、遺跡での別れ際、ローが渡してくれた、
ふたつの鏃を>>188ぎゅっと握りしめて、痛みを堪える。
双子は次に会える時まで、大切な研究材料を傷つけぬよう
柔らかな細い革ひもで編んだペンダントにして、ずっと身に着けていた。
今度会う時には、鏃の逸話を聞かせてくれるという約束は、
果たせないままだったけれど。
“あなた”の分も併せて2つの鏃は、今も“わたし”の心臓の上に在る。
まるで、大切なお守りのように。]