……、……
[アレクシスとシメオンの遣り取りは、血親にとって堪え難いものだった。
喉許まで込み上げる笑いを堪えるという、唯一点において。
努めて神妙な顔を保ち、震える唇は淑やかに扇子で隠し。
ギィのもてなしの声に、漸く正当な理由を得たとばかりに微笑を見せて>>244]
……有難う、存じます。
[笑みを孕んで掠れた感謝の辞は、ごく簡潔なものに留まった。
些か芝居がかった乾杯の文句は、ギィの唇を経れば心地好い響きだけを帯びる>>246
薄らと細まる瞳を、彼へと流して応え]
――…乾杯。
[調子を合わせるアレクシスの声>>254が重なれば、わざとらしく眉を跳ね上げてから、ゆるりと口端を和らげる。
心にもない事を仰って、と言わんばかりに]