ディーク……有難う。
なら、……私のことを、
[そう言いながら彼に両腕を伸ばした。
彼に縋り付く形で抱きつくように。
しかし、抱きつくその瞬間に開かれた口、
その牙は人の肌を切り裂くべく鋭く尖り
喉笛を潰し声を失わせるべく、
喉につきたてようとしていた。
両腕が届いたなら、その細腕でと思えぬほどの
強い力で抱き寄せ逃がそうとしないだろう。
そしてしゅるりしゅるり、
何処からともなく……否、
娘の後頭部から生えた細かな緑色の蔦が、
獣の毛皮めいて娘の体を覆い始めていた。
娘の瞳をもし見ることができたなら。
それは、煌々と光る、血のような赤]**