――ラト!?
留守を頼んでいたろうに、なぜ来よった。
[驚いて足が止まり、女王らしからぬようにその声に振り向いた。
この世界に来る前に、そう留守を任せてから転移した。
それが自然と出て来たその一言が、女王の失われた記憶が埋まったことを表した。
取り戻した感覚、というよりも、自分の片割れが全て届けてくれたような。
もともと時間軸など関係のないふたりだから、この邂逅によって忘れていた思い出したの線引きも曖昧で、女王は全てを覚えている状態がごく自然にあった。
幼き日々から、師や友や臣下との邂逅から、覇道を志した理由から、この世界で亜神の欠片を受け入れてまで何をしようとしていたかまで――]