[夫の逡巡には口を挟まず――正確には、掛ける言葉が見当たらず。
消去法でいえば、一着しか残らない筈だろうと。
それはそれで見てみたい気もすることであるし>>265]
[断るそばから、有無を言わせぬ腕が一着目を却下する。
代わりに宛がわれたドレスの色合いに、眦を和ませ]
……綺麗。私の一番好きな色のひとつなの。
[理由は口にせずとも知れるだろうと、静かに微笑む。
そこはかとなく漂う空気を割って、魔物は割当の交換を制止する。
最後は、ゆったりとした裾と袖の長い衣装。
銀糸を織り込んだ白地に、襟ぐりと裾に薄紫の花が散らされている]
ああ、これなら――…