――人狼はいます。それは間違いない。隣村はまごうことなき人狼の仕業でした。
この村の伝承は少し特殊です。それをなぞった模倣犯は、かなり難しい。
なので投票にも、処刑にも反対はしません。
けれど人殺しは、狼だけとは限らない。
それを忘れないでほしくて、話しました。
[崩壊した街から、出て行った。
悲劇を繰り返したくはなくて、他の地方の伝承を、生活を、地理を調べて回った。
残ったのは売れない本と、趣味のスケッチばかりだったが。]
迷わせたいのでは、なくて。ええと……間違わないで、ほしいと。
ごめんなさい、蛇足だったかも、しれないです。
[最後はこの話の必要性に疑問を覚えてしまって、一方的に話したことも相まって、俯いて終えた。]