― 現在軸・クリーク砦内 ―
調子に乗るから、あまり褒めると危険かもしれませんよ。
[マーティンの言葉は昔から、
つい丸ごと信じてしまいたくなる不思議な力がある。
それがきっと彼の魅力の一つであろうが、真っ直ぐな賞賛を自分に向けられると流石に面映い。目を瞠って驚きを表現する彼に、エドルファスは照れからか頬を掻く。>>185]
でも、マーティンさんにそう言われると、
より強く、上を目指したくもなってしまうな。
……ま、戦の中で強くなっても、屍が増えるだけなんだけれど。
守りたいものを守り、掴みたいものに繋げる力は、
どれだけ持っていても困るものじゃないよね。
[野稽古の快諾には、ありがとうと礼を告げた。
カークの手合わせも、思えば平原に居た頃以来だ。
味方を知り己を知るいい機会だ、尤も、カークがいつ帰るか分からぬ以上いつ成せるのかは分からなかったが。]