―或る呪われ者の追想―
(だからってまざまざと、言いなりになって殺されてなどたまるかよ…)
主国を欺くために、首都にいる従弟との綿密な連携が必要となる。
呪いの根源を男の身に引き受け、なおかつその後の逃亡を謀るための絶対たる条件は、三つ。
一つ 領主を辞めること。主国を欺くためにも儀式作法をもってして、瘴気漂う鉱脈で行うこと。
二つ 出奔することを誰にも悟られないこと。……これは従弟の意地悪な気がするが。
三つ 上の条件を満たそうとも。呪いの根源を引き受けた以上、クレステッドは永続的に不老と成り得る可能性が高いということ。
迷いが、無かったといえば嘘になるだろう。
本当は、俺は、この地で生きて、生きて……人である内に人としての感性を喪う前に人として死にたい。その望みは贅沢だろうか。