[城主の体が灰へ帰したその時、野茨城そのものが時を止めた。風に揺れる野茨の葉が動くのをやめ、突如、時の重みに耐えかねたように萎れしぼんでいく。色褪せた茨は先端からさらさらと崩れていき、白い細かい灰が風に舞い上がり、 やがて静かに降り積もる。城を覆うすべての野茨が塵となって崩れ落ち、庭も、壁も、床も、灰に覆い尽くされる。]