[数代前のタートザッヘ家の主は、人狼騒動などなくとも、自らの意思で他者の正体を暴くことができたという。
人狼騒動を未然に防ぐことのできる、強い異能を持つそのひとは、多くの人に信仰されていた>>0:244
それは――何もしていない人狼を炙り出し、処刑するということでもあった。
けれど、人狼の脅威に怯えていた人々は、それが正しいことだと信じて疑うことはなかった。
異能は、次の世代へは受け継がれず。
子供が何の力も持っていないとわかった周囲の反応は冷たかった。
タートザッヘ家はたちまち廃れ、貧乏貴族となった。
父の代になり、人狼騒動を生き延びた占い師だという女性と結婚し、生まれた双子は。
兄だけが、数代前と同じ特別な力を持っていた。]