[カレルを起こさぬよう、ゆっくりとソファの背もたれに体重を預け、天井を見上げる。
染み一つない。けれど、確実にここでも血は流された。
カレルのお陰で渇きが落ち着いた今、情報を整理するには持ってこいだが、イドから入ってくる情報を分析しても、これ以上の進展は今は望めなさそうだ。
大きなため息を静かな団欒室に落ちた。そしてぽつりと、]
血を、飲みたくないな……。
[正確に言えば“誰かを傷つけてまで血は飲みたくない”。
本当は、5年前のあの日に死んでおけばよかったのだ。
こうなったと気づいた瞬間を幸いに、絶望のまま炎の中に飛び込めば良かった。
けれど、許される限り側にいると約束してしまったから……。]