……………い、いいえ。 いいんです。お気になさらないで、ください…。[暫しの沈黙の後、謝罪との言葉と共に呼ばれた、カレルという偽名。安堵すべきなのに、胸の奥の一番深いところを、鋭い刃物で突かれたような、冷たい落胆の痛みが奔る。一瞬、心の何処かが、あまりにもあさましく、サーラと、“わたし”を呼んでほしいと渇望してしまったから。今はもう、誰にも呼んで貰えない名を。誰にも、必要とされない存在を。 誰かに、ではなく――… “ロウ”に。]