―城の一室―
有難う、
[エルに勧められるままに椅子へと腰掛ける。
花をプレゼントする提案には、エルも喜んでくれたよう。
庇護されるばかりで人に何かをしてあげることも少なかったものだから、感謝されることがなんだか心地よい。
『お父様』の書斎で夢中になってページを繰った植物図鑑の内容を思い出そうと宙に視線を彷徨わせた。
(そうね、真っ白なフリージアなんて良いわ)
(花言葉「親愛」なんて、とってもロマンチックだわ)
どんな花を贈ろうかと思いを巡らせて、少女はエルにも訊ねた。]
エルさん、あなたはどんなお花がお好み?
リクエストがあれば、探してくるわ。
[ティーテーブルに頬杖をついて。その仕草は見た目の年齢と何ら相違ない幼いものだ。]