― ジークムントの部屋付近 ―[血の盃を運ぶ先、扉の下を茨が這っているのを見れば、城主の”分身”がジークムントを訪問中と知れた。] ──…、[出直すべきか──黙って踵を返しかけたものの、ほどなく薔薇は紅に染まろう。このままではジークムントが欠礼しかねないと思い直し、扉の前まで移動して、茨を爪先で軽く蹴り蹴りする。続く扉へのノックは、それよりも丁重に行われた。] ヴィンセントです。