[シラーが魔都へ変貌していくことは、取り残された人間たちにとっては苦難が増すということでもある。それでも、シラーの人間の心は絶望に染まりきってはいなかった。日々の厳しい労働の中で、あてがわれた粗末な寝床の中で、あるいは繋がれた小さな柵の中で、誰かが小さくモンテリーの国歌を歌う。それは隣の人に引き継がれ、さらにその隣の人へと伝わっていく。シラーの各所で、そんな小さな歌声が囁くように繋がっていた。]