ならず者 ディーター

─ →談話室 ─

［人が集まりきると、ジムゾンが立ち上がった。
それから、話し始めた内容。「船が流され」と言われたところで、「え、知らんけど」という顔を一瞬した。
予想はしていたとはいえ、一瞬虚を突かれて気が抜けかけた。

ジムゾンの話が続く。
「金色の獣」「人狼」──その単語が並んだとき。
ディーターの眉がピクリと動いた。

この村で、金色の獣が指す存在は、おそらくたった一つしかない。

口は開かなかったけれど。ほんの僅かに不満そうにも見える険しい顔をして。少し緩慢な動きで姿勢を変えるように腕を組んだ。］