[ そう断じてから、男は口調を戻した ]
貴女は確かに、貴女の信念に従って街とシコンの民を護ったのでしょう。
だからこそ、モルトガット皇帝は貴女を受け入れ、認めたのだと思います。
[ 裏切り、背信、そういった言葉を、太陽と称されるあの皇帝が、喜ぶとは思えない。
彼女を、祖国を裏切った売国奴ではなく、民と国の未来を護るために、身と心を捧げた志士であると認めたからこその事だろう、と、皇帝を直接には知らぬ男が、確信を持って口にするのは、あの帝国扶翼官を知り、その言葉を直接聞いたからかもしれない ]
ですが、一人の軍人として、そして軍人を家族に持つ者として、俺は貴女を許す事が出来ない。
[ 味方に背を撃たれる、という、覚悟の外の死を、多くの戦友と、その家族に齎した事を、許すわけにはいかないのだ、と。それこそ、ファミルにとっては覚悟の上の糾弾であろうと知った上で ]