― 魔王城 ―
[薄暗い城の陰影を潜り、止められた足。
そうして、差し出される三着はなにやら悪意が見え隠れする。
逡巡数秒する内に、妻にも差し出される衣服へと手を伸ばし、
布地の少なすぎる着衣を払うように退けた。>>256
伴侶の介入は当然のことと、傲慢に振舞うさま。
変わりに手に取るのは己に出されたカクテルドレス。
膨らんだ裾へと落ちる藍色のグラデーションは黎明の色に似る。
そっと彼女へ宛がい、視線を合わせ。]
―――…此方は如何ですか?
[彼女の申し出を首左右に振った魔族など、
あっさりと無視して告げる男。>>261]