そうして、生きることすら出来ないような人数だけが残って、はたと気づいたんです。この村には、人狼なんていなかったのだということに。[がらんとした街並みを、覚えている。 血に濡れた石畳、呆然と地を空を見る生き残った数人。]犯人は羊飼いでした。男は妻を殺し、飼い羊を殺し、その血の匂いで狼をおびき寄せて、その肉を食い散らかさせた。あとは好き放題だったのだと思います。誰かを殺しては狼に食わせ。狼が満腹になれば殺した。殺し合いが始まれば、それでおしまいでした。