[ふいに、ローの唇から懐かしい名の響きの気配が、零れる>>191.どくんと、心臓が大きく跳ねた。 けれど――…続く音は紡がれぬまま。懐かしい色の瞳を、幾つもの感情の色が過ったような気がして。もしも、何のしがらみもなく再会できていたなら。聞きたかったこと、話したかったこと、伝えたかったことが、胸の奥の硬い蓋をこじ開けて溢れそうになるのを、唇をきつく噛んで堪える。]