[ ザクザクと雪を踏み、杖で突きながら歩く。 ] 飯はまだかのお。[ ふと見たらいつの間にか、杖ではない方の手にパンを持っていた。 眺めて少し考えたが、ぱくりと口に押し込んでみた。 ] おお、旨いのお。 こんな旨いパンを食べたのはいつぶりかのお。[ 二口、三口と食べて満足したので、 再び歩き出す。 ] 全く今年の冬の寒さは異常じゃ。 この雪はおかしい。不吉じゃ。まことに不吉じゃ。