「それは分かっている。そんな常識をレクチャーするために私達を集めたのか? Dr.実剣」
[鑑が調子よく口を滑らせる男――実剣を見た。
そこには長きに渡り戦場に携わってきた者にしか纏えぬオーラを秘め、並みの人間であればそれだけで言葉を詰まらせる凄みを感じさせた]
「いえいえとんでもない」
[恐縮そうなリアクションをとりながらも、全く恐縮していないどころか、軍人達の反応を楽しんでいるかのような実剣は、一度咳払いをしてから口は更に滑らかさを増した]
「実はまだ未確認情報ですが……この下位天使達がロシア・北極圏を東征し始めているという情報があります」